特別対談”FIGHT WAR NOT WARS”

2022年2月24日にロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して40日あまりが過ぎた。(4月15日現在)各地で激しい戦闘が繰り広げられる中、チェルノブイリ原発を制圧、現在稼働中のザポリージャ原子力発電所周辺を攻撃~占領するなど一つ間違えば大惨事になり兼ねない攻撃でウクライナを攻めているロシアに対して、世界中からロシアに向けて非難が集まり、経済制裁を中心とした動きが加速している。

そして世界中の人々からロシアへ反戦のメッセージが届けられている一方で、わが国では国防の視点から核保有の議論が見られるようになった。

当事国のウクライナはもちろんだが、NATO加盟国、そしてこの日本も市民の意識を巻き込み、混迷の一途を迎えているようにも見えるこの戦争について、ミュージシャン、そしてアクティビストはどのような考え、どのような想いを持っているのか、またこれから私たちはなにをすべきかを考えたいと思い、TPNW対談で集まった仲間を再度招集させてもらった。

対談者

MC:
ガイ(1965年生まれ・広島県出身)
Origin of M
所属=to future production

対談者:
イシヤ(1967年生まれ・東京都出身)
FORWARD/DEATH SIDE

対談者:
アズサ(1980年生まれ・長崎県出身)
STAGNATION/C/ESPERANZA/Ein Schwert
所属=NAGASAKI NIGHTMARE production

対談者:
ガル憎(1974年生まれ・広島県出身)
ギチ/DAZE BAND

対談者:
MUCKACHIN (1969年生まれ・広島県出身)
SLIP HEAD BUTT / DEATH SIDE

対談者:
高橋悠太 (2000年生まれ・広島県出身)
慶応大学生
所属=KNOW NUKES TOKYO / カクワカ広島


★今回の対談でみんなと話し合いたいテーマを簡潔に三つ用意しました。
①今回のロシアによるウクライナ侵攻について
②先日の全感覚祭主催の反戦集会、渋谷でのデモのような反戦アピールもある一方で元首相の核シェア~国防論も湧き上がっている現状について
③早期収束~停戦のために我々が出来ることは?
それではみなさんよろしくお願いします。

GUY:①今回のロシアによるウクライナ侵攻について其々が思うことを聞かせてよ。

ガル憎:とてもシンプルですが「え? この時代に戦争?」という驚き、もっと言うと時代錯誤感というか、驚きに加え拍子抜けのような妙な感覚がありました。もちろん世界では紛争や内戦は続いているのですが、オイオイ、侵略戦争って…みたいな。戦争も紛争も内戦も世界から無くなってないけど、正気かよプーチン、いつの時代の思考だよ、みたいな。自分の中でこれまでのような「戦争」という手段が過去のものになりつつあるからかもしれませんが。

AZUSA:正直信じられませんでした、ガル憎さんが言うようにこの時代に戦争?って自分も思いました。ありえないだろ

MUKACHIN:いまの2022年にこのやり方で戦争するんかよ?と思ったのがまず最初の感想。もっと経済的に追い詰めてとか暴力的じゃない、なにか他のやり方でとことんウクライナとNATO側を攻撃するかと思ってた。それが原始的な暴力が始まったことに、結局やっぱりこれかよ、と感じました。

高橋悠太:Twitterで第一報を知り、驚き、血の気が引きました。僕は2000年の生まれで、戦争が始まる瞬間を初めて目の当たりにしました。その夜は震えて、寝付けなかったのを覚えています。でもSNSでの日本の反応の中には、物流が乱れるとか、原油が手に入らなくなるとか…そういうものも散見されました。いや、そうじゃないだろ、と。人間の命は?と憤りを覚えます。

ISHIYA:ウクライナを独立国家として見てないの?みたいな傲慢さをロシアには感じるかな。国連のケニア大使であるマーティン・キネマ氏が「我々は植民地主義者の引いた線で国境を定めることに合意した。もしも独立の際に、我々が民族、人種、宗教の同質性に基づく国家を追求していれば、何十年も血に塗れた戦争を続けることになっていただろう」ってロシアの侵攻を非難したんだけど、まさにそれであり、大国の横暴、帝国主義、植民地主義の押し付けな気がするな。プーチンはもちろんひどいし、許せるものではないけど、ウクライナも国民に火炎瓶作らせたりしてるのは「なにそれ?ふざけんなよ」とは思った。シリアやパレスチナでも常に戦闘状態ではあるから、今回のロシア侵攻による戦争だけに焦点が行ってるのもなんか納得いかない感はあるかな。パレスチナなんか何かあるとすぐ爆撃されてるしね。アフリカでも内戦は続いてるし。

GUY:今回のウクライナ侵攻が始まった途端に騒ぐメディアや国民てどうなのよ?ていう意見も耳にしたこともあるよ。

ガル憎:それはあります。でも、逆に今回のウクライナ侵攻が世界的に騒がれなかったら、それはそれで問題かなとも思ったり。ある意味では、ここ十数年の中で最も世界中が戦争に反応したワケじゃないですか。戦争が悪であることを世界が再認識したという意味では、良かったと言うと変ですが、意味のあることなのかとは思います。

AZUSA:今回のロシアの件で戦争って事が改めて全世界にまた考えさせる事になったし、核って言葉がどれだけ恐ろしいかが。

ISHIYA:全国で反戦デモとか起きてるしね。

AZUSA:そうですね。言い方が難しいですが、リアルに考える事になったんじゃないかなと。

ISHIYA:良くも悪くもメディアに踊らされている国民性ではあるよね。

ガル憎:あと、ロシア軍は子供が避難している学校を空爆したり、やってることはまさしく非道なんですが、3月の中旬に「部下を鼓舞するために最前線で指揮をとった将官の戦死が相次ぐ」というニュースがあったんですね。正直な話、若いロシア兵の中には「大統領の命令だ。やるぞ!」というより「本当に戦争をするの?」みたいな感覚の人もいると思うんです。自分たちの世代はまだ戦争というものへの理解度というか、とにかくバチバチに戦って殺し合う戦争というものを知ってるしイメージできるけど、若い兵士にとって、そういうのはもう過去のものなんじゃないかと。悠太君の言った「戦争が始まる瞬間を初めて目の当たりにした」がまさに本質で、それこそ若い兵士って悠太君と同じような世代だと思うんです。だからこそ、いくら大統領に言われてもピンと来ないとか、相手国をブッ潰してやる、殺しまくってやるって思わない、思えないっていうのがあるような気もして。言うなれば、これまでの戦争というものの概念が、じつはすでに破綻しかけてる面もあるんじゃないかと。ロシア軍を擁護する気持ちは1ミリもありませんが、命令だから仕方なくという考えの兵士が、これまでの戦争以上に多いのかもしれないなと思いました。

ISHIYA:若者たちの心境が、1番この戦争を止めるために効果があるかもね。でも、戦争に参加すると人が変わるからな。そこは想像でしか言えないけど、太平洋戦争で生き残りの兵士の人たちの話とか聞いたことあるけど、酷すぎるもん。

AZUSA:戦争って洗脳みたいなところもあるので

ISHIYA:あと極限状態だからね。精神はおかしくなるだろうと思う。

ガル憎:戦争とかイヤだな、人を殺したくないなと思っても、いざ出撃して攻撃を始めちゃうと「戦争脳」になっちゃうというのはあるでしょうね。

ISHIYA:アメリカなんかだと、貧困層は兵隊になるしか食い扶持がなかったりするんだよね。生きるために仕方なくって兵士になる。でも戦争いけば死んでしまう可能性の方が大きいんだけど、それでも生きるためなんだよね。家族ともども。そのために貧困をなくさないって話もあるぐらいだから。たぶんそんなことは、どこの国でも多少はある気がしてる。

AZUSA:そうなんですよね。そこの問題もありますよね。

ISHIYA:でも、そこをなんとかするには、政治を変えるしかないんだよね。国の政策だから。

ガル憎:日本人には分からないというか、リアルに想像しにくい部分ですね。

GUY:次につながる事柄になるのだけど、ロシアがチェルノブイリを制圧、続いてザポリージャ原発を攻撃、制圧したことで、核戦争がクローズアップされたことについてどう思う?

ISHIYA:原発狙うとか、核による脅しとかは「人でなし」としか言いようがない極悪非道だよ。戦争に人道も何もないとは思うけど、それやるか?って、かなり腹は立つ。そして日本国民を、この戦争によって「攻め込まれたらどうするんだ?」という気にさせて核武装や憲法改正に持っていこうとしているのが丸見えで、日本国民の多くウクライナで犠牲になった民間人や両国の兵士やその家族にまで考えが及んでいるのかな?とも感じてる。やられたらどうする?みたいな話ばっかりで、そういう考えの人の多くは、自分達がロシア側になることを想定していない、かなり危険な考えになってる気もする。悪者を仕立て上げて、憲法改正や核武装に持っていく魂胆なんじゃないかなとは思うかな。確かにプーチンは酷いけど。日本なんか特に、核をチラつかせたときに、猛烈な抗議をしなきゃいけない国なんだけどね。

高橋悠太:ISHIYAさんの指摘はその通りだと思います。これまで多くの国会議員や政府とも対話してきた経験から、私の団体(カクワカ広島)では、「非核三原則などこれまで積み重ねてきた議論の蓄積を無視し、人々の危機感や恐怖を利用して性急に進めようとしている」と批判する声明を出しました。

国会議員の「核共有」を肯定する発言に抗議します カクワカ広島

ヨーロッパの核兵器廃絶のためのアクティビストと話すと、ヨーロッパは戦時中のような緊張感が漂っている、と言います。残念ながら、メディアや(日本で取り上げられる)世界的なニュースも欧米中心。地理的理由で、現在進行形の他の戦争・紛争がちゃんと認識されてないような気が。結局は、白人や欧米至上主義だと感じます。

ISHIYA:NATOも絡んでるからね。ロシアなんか近いし、各国とも軍隊があり、戦争に関しては、日本とは違う考え方だろうからね。


GUY:②それではあらためて次のテーマに入ります。先日の全感覚祭主催の反戦集会、渋谷でのデモのような反戦アピールもある一方で元首相の核シェア~国防論も湧き上がっている現状についてみんなが思ってることを聞かせてよ。

ISHIYA:あの安倍の核シェアには「こいつやっぱり頭弱いな」と思ったよ。何言ってんだこいつ?って感じ。アホすぎるにも程がある。広島や長崎の被爆者の方々のことを微塵も考えてない無責任極まりない発言だよね。首相になる前から思ってたことをついに堂々と口に出し始めたとおもったよ。

AZUSA:ほんとにやばすぎると思いました。

ISHIYA:心が無さすぎるよね。

ガル憎:どさくさに紛れて、しかもずっと表に出てなかったのに、なにしゃしゃり出てきてんだと思いました。急に「俺の出番だ」感を出してきて、ホント腹が立ちましたね。

ISHIYA:その辺りからも、確実にこの戦争をダシに、改憲や核武装論に持っていく気満々だろ。岸田のほうがまだマシってのも情けないが、一応非核三原則は守るって言ってたよね。

ガル憎:安倍は「ボクお腹イタイから総理ヤメちゃいます」って言ったんだから、おとなしくしとけ、引退しろと思います。

MUKACHIN:率直な感想として、憲法改正賛成派はこのタイミングを待ってたように思う。デモに関しては、道路練り歩いてプラカード持って、というのもありだけど、先日の全感覚祭のような新しい形でイベントとして興してやるのは、今まで感心がなかった人たちへ感心を与える良い機会になったんだと思います。

高橋悠太:日本が、特にその政治家が核共有の提示することはロシアや世界に誤ったメッセージを送ることになると思います。隣国にしてみれば、脅威の増加ですし、被爆国ですら議論するのだから、核兵器やその抑止は必要だ、となりうる。もう1つ問題だと思うのは、さすがに核共有はだめだよね、だからまあ核抑止はいいか、と現状追認になることです。

GUY:ハードル下げて納得しちゃうて論法だよね。それ現実的でヤバい。

高橋悠太:核抑止は、広島・長崎を繰り返してもいい、致し方ない、というモチベーションの上にしか成り立たない。そもそものリスクをなくすこと=核兵器を禁止・廃絶を考えないと。

ISHIYA:そこを誤魔化すためには、なんでもやると思うよ。あと10年ぐらいすると、戦争体験者がほとんど居なくなってくるじゃん?その辺りを目処に何かをしようとしてるんじゃないかと、随分前から思ってる。

ガル憎:日本人には「ロシアとウクライナが戦争をしてる」という認識だけじゃなく「その裏で日本もおかしな方向に行きそうになってるぞ、こっちも大問題だぞ」と思ってほしいし、気づいてほしいです。

ISHIYA:未だにテレビが情報の中心であるお年寄りとか俺らぐらいのおっさんもいるからね。なかなか気づくのは難しいと思う。だからこそ、若者たちの力が大事なんだけど、若者に改憲論や核武装論者が多いのにはびっくりした。

ガル憎:他の大国が持ってんだからいいじゃん、みたいな感覚なんですかね?

ISHIYA:やられたらどうするんだ?ってのが多い気がする。やる方になることを考えてない感じ?たぶんね。

高橋悠太:んー大国が、というより、そもそもゲーム感覚に近いんじゃないでしょうかね。自分はそこにいない。=やるほうにも、やられる被害者になることも想定していない。大学の友人たちはそんな感じがつよいです。

ISHIYA:現状で日本が改憲して戦争できるようになって、核武装したら、アメリカの手先になって攻め込むのが確実なんだけどなー。そこはわかんないのかね?

GUY:ここで②の質問の「反戦の動き」に対してみんなに聞きたいです。GEZANが主導で開催した、新宿南口での反戦集会に集まった多くの人たちがいることに希望を持ったのね。悠太くんがいるノーニュークストーキョーの共同代表も出演してたことにジャンルを超えた反戦への連帯も感じたのだけど、みんなはどう思った?

AZUSA:そうですね、デモは絶対大事です。意識を上げて考える事にもなりますし。

ISHIYA:小さなデモが全国的に展開されてるよね。そうやって民間の意識レベルで反戦になっていくのは良いことだと思う。俺は個人的に、デモに参加すると頭に血が昇って逮捕とかになるんで自粛してるんだけど、参加したくてウズウズしてる(笑)。

高橋悠太: これだけ大きな出来事の中で、無力感を感じることも、無気力になることもありますが、でも目の前でできることを地に足をつけてやっていかないと、さらに悪い方へ進むと思います。GUYさんのいうデモでスピーチした、共同代表の中村は、ダメなものはダメ、嫌なものは嫌が通じない社会に心が挫けそうになる。と終了後に話していました

ISHIYA:凄く日本の社会っぽいね。

GUY:ほんまよ。この言葉がいまの現状を表してるようでヤダ。核廃絶が核保有に負けるのは絶対ヤダ

ISHIYA:抑止力って都合のいい言葉をなんとか無くしていくことができればね。

GUY:ウクライナは核を持ってなかったから攻められたんだっていい加減な認識が蔓延するこの時代だからね

ISHIYA:抑止力だったら何してもいいのか?って。抑止のために先に殺すのもアリになってくるところまでは考えないのかね?

ガル憎:抑止力。なんかポジティブな印象を持ってしまいがち。言葉のマジックですね、もちろん悪い意味で。

AZUSA:抑止力って怖い言葉ですよね。

ISHIYA:究極で言えば、1番の抑止力は子供を産まないとかになるじゃんね。人間がいなければ戦争なんか起きないんだから。ただ単に「やられたらどーする?」ってだけで、そこから踏み込んだ考え方をしない人が多すぎるよね。まぁ昔から一般ってのはそうで、だからパンクスになったんだけど。自分の家に暴漢が来ました。家族を守るためにあなたは戦わないの?みたいな理論だと思うんだよね。そうならないようにするのが人間なんじゃないの?抑止力っていろんなことに使われるからね。それも人の生命に関することに多いから、俺は本当に嫌な言葉。

GUY:抑止力て言葉を日本人が使い始めたら核兵器認めたも同然てこと理解してほしいよね。日本が核シェア容認した途端、ますますきな臭い世界になりそうだもの。

ISHIYA:断固反対の意志を強固に示すしかないよね。

ガル憎:日本は「核」とか「戦争」という意味においては、日本人が思ってる以上に、世界のどの国よりも立場が重要なハズなんですけどね。

ISHIYA:そこを自民公明維新がぶっ壊してる。変えないと。

ガル憎:結局「選挙に行こう!」という基本的な話になってきますね(笑)。

ISHIYA:そーなんよ(笑)。あとは個人レベルでどうするかだよね。そこが大きくつながっていけば変わると思うけど。

ガル憎:前回の話じゃないですけど、結局「発信する」という基本的な話になってきますかね。

ISHIYA:そこは基本だよね。あとは各自がどういう行動をするかってとこかな。

AZUSA:やれる事をやっていくしかないですよね。

ISHIYA:デモに出ない人もいるし、反戦の声をあげるのは怖いって人もいるだろうしね。そういう人の中にも、本当は嫌なんだけど、声を上げたら立場的に…みたいな人もいると思うんだよね。

ガル憎:SNSにしてもデモにしても、反戦というものをアピールしていく、その数を増やしていくのが、まず最低限の目標というか。いかにして、そういう意識が薄い人の目に届けるかが重要ですよね。

ISHIYA:一定数、とにかく反対するみたいなやつが多すぎるよね。人にケチつけたり難癖つけることが趣味みたいなやつが多すぎる。物事の本質をなんとか伝えないとねー。

AZUSA:個人個人でもやれる事をやっていけば良いのかと思っています、音楽で伝える事もできますし!

ガル憎:自分は個人的にツイッターで戦争反対の意思を表明する他に、日本語でツイートしてるウクライナの人のアカウントをフォローして、その人にリプライをしたり、あとはロシア語とウクライナ語で戦争反対の気持ちをツイートしたりしています。SNS時代なので、そういう形で他国、今回で言えば実際に侵攻された国の人と繋がったりすれば、発信の範囲も広がるし、繋がっていけると思うんです。重要な「発信」を見逃さないためにも。例えばどれかひとつでも自分のツイートがバズれば「日本人がこんなこと言ってるよ」と他国の人に見てもらえるし、これまでとは違う発信力になると思います。

フェイクニュースやプロパガンダもありますが、そういうものもしっかりと見極めて、自分は自分なりにSNSを駆使して反戦、さらには核兵器廃絶を訴えていきたいですね。デモに参加すると、ISHIYAさんが言ったみたいに血が昇ってなにかしちゃいそうなので(苦笑)。

ISHIYA:もちろんSNSや音楽、デモなんかでの発信は凄く大切だけど、俺個人で言えば、苦しみや痛み、苦痛などを人間のように感じる生命を極力殺さない生き方をする。自分が感じるのと同じ苦痛を与えている現実は、戦争のそれと同じだと思ってる。それで反戦と言っても説得力がないと俺は思うから。それが俺の個人的な反戦行動かな。


GUY:それでは最後のテーマについてみんなの考えを聞かせてください。

③早期収束~停戦のために我々が出来ることは何だろう?

ISHIYA:正直に言って一般民間人には、早期収束から停戦させることはかなり難しいと思う。かなり微力ではあるけれど、SNSや音楽、デモなどで訴えて連帯してつながることぐらいしかできないし。終わらせることは勿論1番重要だけど、戦争被害者の支援という部分ならば、一般民間人でもできることが多いんじゃないかと思うので、その部分で協力するのが現実的かなと思う。あとはウクライナ製品を極力買うようにしたり、反対にロシアの金になるようなものをボイコットするとかね。

AZUSA:ISHIYAさんが言うように一般民間人には早期収束、停戦はとても難しい事ですよね。だからといってただ見ているだけではいかないわけで、今自分達にできる事を続けたり、伝えたりしていかなきゃいけないですよね、今やっているTO FUTURE web zineだってそうですよね、SNS等を通じて発信していく事、デモをやる事や参加する事、音楽で皆で協力して音源作って発信したり、その売り上げで様々な状況に応じての寄付等も微力ながらでもできると思いますし、とにかく自分はいつも言ってるんですがやれる事をやって続けていくって事が大事だと思います。

MUKACHIN:確かに俺ら一般人が戦争を早期に収束、停戦をさせることは難しいけども、戦争の原因を知る、知ろうとする事が重要かと。今すぐ出来ることとなれば、やはり各国の戦争被害者への支援だと思います。民族の争い、資源の取り合い、政治の争い、領土問題や宗教の違い、が戦争の原因かと思うんだけど、もっともっと野蛮な方法じゃなくて、現代人なんだから知恵を出せよと。日本は戦争をしないと憲法に定めたのだから、それを揺るがす現状を注視し、それをアピールすることも必要だと思います。

ガル憎: 遠い地で戦争が起こって、直接は関係ないと思っていたら、日本は日本で核のシェアリングとか言い始めた。対岸の火事じゃなく、やはり戦争が起こるとなんらかの影響を受けてしまうんだなと今回、思いました。今回の戦争をきっかけに、日本の政治家の目論見が見えてきたというか。まず自分は日本人なので、どさくさに紛れて出てきたような今回のシェアリングには断固として反対しなきゃいけないし、非核三原則を守るとか、憲法9条を改正させないとか、これまで守ってきたものが引き続き守られるよう努力、ノーを言い続けることも大切だと思います。

ISHIYA:恐ろしいのは、ウクライナ応援みたいになって、ウクライナが戦争に勝ったとしたら喜んだりする人間が出てくることだと思う。もうそれは戦争そのものを認めてゲーム感覚で見てしまっている。そこに生命があることを完全に忘れた行為であり、判官贔屓みたいなノリになっていくことが恐ろしい。どっちが勝つ負けるじゃなくて、戦争自体が悲惨で愚かなものだと強固に訴え続けることが大事かなと思う。

ガル憎:自分もそう思います。ロシアがウクライナに侵攻した当初はウクライナ派だったのですが、いや、厳密に言えばいまでもそうではあるのですが、いざ戦争が始まると双方が「合法」という概念のもとで人殺しをするワケで、そう考えればどちらも悪い、人殺しに正義なんて無いと思うのです。どちらが勝っても負けてもたくさんの人が死ぬ、関係の無い民間人、子どもたちが死ぬ。とにかく戦争はダメ、戦争反対。それを唱え続けたいです。

AZUSA:戦争には悪も正義もいないですよね、どちらも加害者で被害者だと思います、人を人と思わず殺し(戦争脳)、やられたらやり返す精神、負の連鎖しか始まらないし、様々な国もまきこみます。戦争は恐ろしい事なんだ。絶対に戦争はダメなんだと。戦争反対どのような形であれこれからも叫び続けていきます。

高橋悠太:「声をあげ続ける」ということは単純なようで、国際政治に大きな影響を及ぼすキーワードだと思います。例えば「反戦」というメッセージの中でも、特に「民間人を攻撃するな」ということは国際人道法が定める世界のルールとも重なります。国際法がどれくらい効果があるのか、と疑問に思われるかもしれませんが、例えば今ロシアは頑なに、国際法で禁止されているクラスター弾や非人道兵器は「使っていない」と主張しています。ロシアのような国でも、国際法違反にはなりたくない。つまり、私たちが声を上げ、倫理的にも、国際法的にも誤った行為だ、と追求することがプーチン氏の行動を抑制することにつながる。

またロシア人とロシア政府を分けて考えたい。それは同じ戦争に反対する仲間を増やすことでもあって、ロシア国内での反戦の声が高めることこそがストッパーになりうる。逆に日本の世論や政治が攻撃的にならないようしたいです。巷では、「攻撃されたらどうするんだ、こちらも軍事増強を」という声もある。それを続けたら、終わりのない軍拡につながる。それは緊張を高め、不安定になって、結果的に衝突を招く可能性が高まると言われています。(安全保障のジレンマと呼ばれる。)今必要なのは、増強ではなく、冷静な軍縮なんだと言い続けないといけない。

そして何より日本は核兵器使用の被害と、もし使われたら「人類が生き残れない」ということを世界にきちんと主張すべきですよね。その1つが6月の核兵器禁止条約の締約国会議ですね。日本はオブザーバーでも参加を。

今、武器提供みたいな話をポーランドとかが熱心に発言していますが、日本はこれにどういう対応をとるのか。例えば、戦火を逃れてきた避難民の受け入れも(日本はこれまではほとんど受け入れをしていませんが。)大事だと思います。それは民間人被害費を広げないための人道支援であり、「日本は武力による国際協力はしない」との重要なメッセージです。戦争や2度の原爆投下を経験したからこそ、説得力があります。座して静観することはできない。無理のない範囲で、1人1人の声で、平和を作り出そう。そして仲間になりましょう。

GUY:みんなありがとう。とても有意義な意見を聞くことが出来ました。ロシア、ウクライナ云々の前に戦争自体に反対の意思を示す、このことはみんな共通してるし、この対談を読んでくれる多くの人もそうだろうと思います。対談を読んで共感してくれた人が自然に周りに呼びかけて、今まで以上に反戦の輪がどんどん大きくなるといいな。そのためにできることをコツコツやっていこうと思います。反戦の意志を示したライブイベントもどんどんやっていくつもり。核シェアの議論を通して日本人」同士が対立するのだけは勘弁だけど、もしそうなっても強い意志を持ち続けて反戦、核廃絶を訴えていきたいと思ってます。そのためには核兵器禁止条約をもっと知ってもらう事、そして今年開催される締約国会議が大きな光になるよう発信を続けていきます。

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