Trtain Of Thought – GOTCH

後藤正文 / ASIAN KUNG-FU GENERATION

世界的なパンデミックのなかで痛感したのは、反対という空気をなんとなく作っているだけでは世界や社会は変わらないという厳しい現実でした。もちろん、意見を表明しないよりはいくらかマシだとは思います。それでも、オリンピックひとつ中止できない強固な経済システムや思想にもとづいて、僕らの社会は動いています。陰謀論ではなく、誰もがそうした経済システムと思想に巻き込まれているし、否応なく、その一部なのです。

 世界中の様々な軋轢の裏で富を吸い上げているのは誰か。何が襲ってくるかわからないぞと人々の恐怖を駆り立てて、お金儲けをしているのは武器商人だけではないと思います。ありとあらゆる商業広告が、それと似た形で存在しています。僕たちはほとんど、資本主義の奴隷だと言っても過言ではありません。

 そこからどうやって抜け出すか、それはとても難しい問いです。僕のようなミュージシャンがこのZINEに一言で綴れたりはしません。自分の暮らしぶりひとつ変えられないことに、落胆します。

 しかし、多くの人たちが、行き過ぎた資本主義に異を唱え、同時多発的に連帯する気配を様々な場所で感じます。このままではいけない、そう感じている仲間たちが世界中にいます。そのことを想像するだけで、少しのエネルギーが湧いてきます。

 核禁止条約もそうでしょう。54カ国が批准し、86カ国が署名したという事実は大きいと思います。丸腰とは行かずとも、核兵器の不使用と廃絶を望むのだと表明した国がこれだけあるというのは、とても心強い事実だと思います。

 ただ、批准した国々のリストを見ると、そこに載っているのは軍事的にも経済的にも決して大きな国ではありません。皆さんがご存知の通り、核兵器による唯一の被曝国である日本は署名すらしていません。これはとても恥ずかしいことではないでしょうか。

僕たちは、こうした日本の姿勢にはっきりと反対するべきです。そのためにできることは、資本主義に抗うよりもシンプルではないでしょうか。それは、多くの人が意思表示をして、社会運動や政治に参加して、この愚かな政権を交代させることです。

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