2014年7月某日、今年も坪井さんに力強いお言葉をいただきに平和会館へと向かいました。
いつものように満面の笑顔で迎えていただき、インタビューは始まります。

GUY : 今年もよろしくお願いします。
坪井さんが考えておられる平和への道標を教えていただけますか。

坪井さん(以下敬称略) : 私はまず第一に核兵器廃絶を考えております。もし核戦争になれば人類は終わりですからね。
そのことだけは世界中の人たちの誰もがわかってる。
抑止力という名で保有していますがなかなか使える国はいないと思います。
しかし、実際に核兵器は存在しているわけですから。誰がどのような形で使用するか分らないですよね。
だから核兵器自体をゼロにしなければいかんと思います。
そのためには国連が大きな権限を持つ必要があります。
核兵器の非人道性についてはほとんどの国が賛同してるんです。もちろん日本もね。しかしこれが核不使用の問題になると半分以下になるんですよ。日本もアメリカの核の傘の中にいるわけだからなかなか言えないだろうと思いますが、岸田外務大臣のような言動はどうかと思いますね。
(岸田文雄外相が1月20日に長崎での講演で、核兵器の使用を極限の状況に限定すべきだと述べた件のこと。核戦争を認めるのかという声と、使用を限定するべきとしたことを評価する声もある。)
ただ悪い方向だけでなく良い方向に動いている向きもあります。
この4月にも広島から核兵器を持ってない12カ国の外務大臣を呼んで会合があったんですよ。
(核兵器を持たない12カ国の外相らが核軍縮のあり方を議論する軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)外相会合が4月、広島で行われた。)
私も参加したんですが、核兵器を持っていない国の人とはすごく話がうまくいくし、早いんですよ。
だから核兵器を持ってない国同士が繋がりを持って廃絶の方向に向かわないといかんと思います。
積極的なのがメキシコとニュージーランドですね。
そこで日本がイニシアティブを持てばいいんですが、アメリカとの同盟関係がありますから難しい部分はあるんでしょう。
だからといって保有していない国から見ると(核の傘は)核を持っているのも同然だと思われますからね。それではいかんと思っています。
世界情勢から見てもアメリカ、ロシア、中国など大国の動きが危ないように見えます。
しかし国連に加盟しているわけですからこちらが注視して止めていかないといけないですね。
ヒトラーやナポレオンのような独裁者を生まないためにもね。
安倍首相がこのところ戦争を匂わすようなことを言われてますがそれも皆が止めれば何も出来ないわけですから。
一番大事なのは人の命。それを守るために頑張らないといけないんです。人の命のやりとりになる戦争は絶対ダメです。一発で大勢の人たちが死んでしまう核兵器は絶対廃絶しないといかんと強く思います。

GUY : その安倍内閣が集団的自衛権と秘密保護法案の二枚看板で戦争に向かう準備をしている気がします。
そのことについてどう思われますか。
坪井:戦前の日本のようになる可能性は感じますね。
安倍首相の言動に独裁的な部分を感じます。自分の発言や自民党の政策に対していい具合に進んでいなくてもいったように発言するところも問題ですね。
経済に関しても然りですよ。
麻生元総理を副首相に任命したり、自分の周りをイエスマンで固める感じがしますし、反対意見を言う議員を遠ざけているんじゃかないかと思います。
その与党に対抗する野党も野党で弱いですからね。
野党が何か提案するというよりも与党が提案した事に対してやっと動き出す構図になっておるでしょう。
与党を支持する国民が多いのも事実なんでしょうが、与党は法案を通して日本が右か左か大騒動になっておりますよね。こういうのはいかんと思います。
自民党、公明党の議員の数が多すぎるのも問題です。
その公明党も平和の党を掲げていますが、ストッパー的な役割を果たせてないでしょう。
憲法九条を残したのは自分たちがいたからだと言ってますが、その中身は(拡大解釈によって)ボロボロでしょう。
しかし何を言われても九条九条ばかりでしょう。
緘口令でもひかれているんですか?と言いたい気持ちになります。
積極的に今回の問題に対して反対を表明しているのは、共産党だけになりますよね。それではバランスが悪い。政治はバランスが大切だと思いますよ。

GUY : 核兵器も集団的自衛権も非人道という部分においては同じだと思います。戦争で人を殺す事が人道的だとは誰も思っていないと思います。それを使うか使わないかで議論になる今の時代ってどうなんだろうと思っています。

坪井 : 本当にそうですね。
核兵器に対しては0か1かでしょう。
持つか持たないか?
このことに関してはシンプルなんですよ。
日本は被爆国ですからね。その事に関しては判っておると思いますよ。
集団的自衛権の方はじわじわと様々な事象と結び付けて進めているわけですから、国民から見て難しくなっておるんですよね。
だからといって戦争は絶対だめなんです。
私は二つの世界を見ておりますからわかるんです。

GUY : 二つの世界とは?

坪井 : 戦前と戦後ですね。
中国戦線で死んだ者もおりますし、特攻隊にいって戦死した友達もおります。
戦争が9月まで延びておれば私も特攻隊にいっておるかもしれません。
そして原爆が落とされ、私は被爆し、終戦後も皆と同じく苦労してここまで来たわけですよね。
そういった二つの世界に生きた者でないとわからない事があると思います。
今は戦争を経験していない世代が戦争について議論しておる訳でしょう?
だから(戦争、そして戦後を経験した)我々が声を上げ続けなければいかんと思っています。
被爆者団体の枠を超えて訴えていかなければいかんと思いますし、行動していこうと思っています。
「戦争で国民を守ることは出来ません!」と強く訴えたいです。

GUY : 去年も安倍首相に会われていますが今年も今夏会われる予定はありますか?

坪井 : 8月6日に会いますよ。
「戦争は絶対反対です、それを思わせる気配にも抵抗を感じます。」と伝えたいです。
原発についても聞きたい事があります。
「核エネルギーについてどのように考えていますか?」とね。
3年もたって収束しておらんわけでしょう。
*広島の被爆者7団体は7月2日、広島市中区で会合を開き、8月6日に市内である「被爆者代表から要望を聞く会」で集団的自衛権の行使容認に反対する意見を安倍晋三首相に直接伝えることを申し合わせた。

GUY : 期待しております!最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。

坪井 : 人生諦めるべからず!
必ず人生には良い事があります。
諦めない人生を続けていきましょう!
「ネバーギブアップ!!」